「それは大成功だ。ワトスン、お手柄だよ。この種の使いをやらせたら、君は天下一品だ」

〈瀕死の探偵/ハヤカワ文庫/大久保康雄訳〉より

事件を解決するための重要な使いを、そうとは知らされず任されたワトスン。
期待した通りにそれを成し遂げた彼に、ホームズがかけた賛辞です。

原文は…

Admirable,Watson! Admirable!
You are the best of messengers.

 Admirable-実にみごとな とか あっぱれな
 messenger-使者、伝令、通信伝達者


よく、ストレートにけなす手ひどい言葉をワトスンに投げつけると評判の(どこで?)ホームズですが、誉める時は誉めてます。
その誉め方もストレート。少々大げさなくらいに。

ホームズがワトスンを悪く言う場面と良く言う場面、実は数的にも以外とバランスがとれてるんじゃないかと最近思います。(いつか数えてみたい。…そればっかりだ)

すごいなぁと思うホームズのテクは、誉める時もけなす時もそれだけで終わらないところでしょうか。

たいてい何かおまけがある。持ち上げて落とすとか、さんざん言った後に喜ばせるとか、シャレが強すぎるとか。けなす時は容赦ないのに、誉める時はどこか強くからかうような響きがある。

今回のセリフもやっぱり素直に喜べないな〜〜という感じはいなめません。

日本語訳でもそうですが、原文の方が特にそんな気にさせると思います。

You are the best of messengers. って
どうなんでしょう?
最高の使者? 伝令の中の伝令?
そういえば、ワトスンがよかれと思ってやった独自の捜査など、よくホームズの逆鱗に触れてますもんね。
伝令なら最高なのに……(^_^;)