宝石のこぼれ話

「ルビ」という言葉があります。
印刷関連の仕事をしていたりするとよく使うのですが、要するに漢字の「ふりがな」のことです。 …一般の人でも使うのかな…??

           
仕事をしながら「ここはルビふってください」とかいうふうに使います。「何でルビというのか」ず〜っと気にもしなかったのでした…
       

ところがこのあいだの宝石本を作るにあたって、調べものをしていたら偶然、語源が判明!
宝石の「ルビー」だったんです。

日本に西洋式の印刷製本技術が入って来たとき、当然、今まで日本には無かった「活字」というものも入って来たわけです。
現在は、コンピュータのワープロで誰でもきれいな印刷物用に文章が打てますが、ホームズさんの頃は「活字」をひとつひとつ枠の中に並べて文章を印刷していたんですね。(…気が遠くなる…)

    

いろんな印刷物に対応するために、「活字」の大きさに種類があります。 標準で、1番小さい活字が3.5ポイント・最大が12ポイント(1パイカとも言う)。その間に数種類。
         

そして、「活字」に大きさ別の呼び名がついていました。

3.5ポイント  brilliant ブリリアント
4.0ポイント  gem 宝石
4.5ポイント  diamond ダイアモンド
5.5ポイント  ruby ルビー (米国はagate めのう)
6.0ポイント  nonpareil 絶品
6.5ポイント  emerald エメラルド
7.0ポイント  minion 王様(女王様)の寵臣
8.0ポイント  brevier  7ポイントの1つ上 (…自分超訳です)
9.0ポイント  borugeois ブルジョアたち
10ポイント  long primer (プリマこそ語源がわからない…)
11ポイント  small pica (パイカの語源もわからない…)
12ポイント  pica (1パイカ=12ポイント)
14ポイント  English (国で来たか!)
18ポイント  great primer

こんな感じです。どうして? というのは活字が出来て以来、印刷の職人さんたちの間での歴史の産物なんで、丸呑みするしかないんですが 、興味深いチョイス!!

 
日本では、当時の新聞か、本を印刷するための活字の大きさに「ふりがな」をふる場合、ピッタリの大きさだったのがこの5.5ポイントの「ルビー」だったということから「ルビーをふる」…「ルビをふる」と。

合点していただけましたでしょうか?  

印刷技術の本家はドイツなんですが、英語表記がそのまま入っていることから、日本の西洋式印刷の先生は英国だったことがわかりますね。同じ英語圏のアメリカからでないのは、この5.5ポイントがアメリカでは「アゲイト」と呼ばれていることからもわかる! 

ちっちゃいことでも、なかなか趣ぶかいなあ…と感じたりしたのでした。





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